主人公になりたい女のゲームブログ

画面の先に私だけの物語がある

【ネタバレなし】彼女を守りたいと思った瞬間、私はもう正気じゃなかった。『SAEKO:Giantess Dating Sim』レビュー

 

 本作は『Giantess Dating Sim』—つまり“巨大娘とのデートシミュレーション”。簡単に言えば、フェチ的ジャンルのADV作品といえるだろう。とはいえ、そういった嗜好がなくても楽しめる。実際に女の私でもどっぷりとこの世界観にハマってしまった。

 先に言うと、“巨大な少女に命を握られている”、その緊張感と、会話を通して築かれる主人公と彼女の関係が魅力の作品です。

 詳しいあらすじやシステムは電撃オンラインさんの記事をご参照ください。私には語りたいことが沢山ある。 『SAEKO: Giantess Dating Sim』レビュー。巨大な少女に保護されるなんてご褒美…と思ったら過酷な運命が待っていた【電撃インディー#1014】 - 電撃オンライン

 

 

▶プレイ時間:5時間弱

4時間~5時間程度でエンディング回収はできそう。実績全回収するならもう少し。

 

冴子という存在—“悪”であり“神”である彼女

 彼女は、いつでも私たち小人を殺せる圧倒的存在。引き出しの中で過ごす私たちにとって、悪であり神のような存在。彼女の機嫌ひとつで命の価値が決まる。生かされるか、殺されるか。

 主人公のリンは“管理人”を任命されて、誰に食料を摂取させるか…つまり、誰を捕食させるかを決める。小人たちは年齢や性別、境遇もバラバラ。やはり新入りほど犠牲になりやすい一方で、長く生き延びてきた住人には自然と愛着が湧いてしまう。その中で起こる別れは、ただの選択ではなく、明確な「喪失」として胸に残る。

小人たちとの会話も楽しい。

 

これは洗脳?それとも恋?

 そんな冴子と過ごしていくうちに、周りが見えなくなっていく。作中でも出てきたけど、まさに“ストックホルム症候群”。私は、主人公と冴子の関係性の変化こそがこの作品の魅力だと考える。

ストックホルム症候群:誘拐・監禁された被害者が、加害者に好意や信頼を抱いてしまうこと

 はじめは、生き延びるために彼女のご機嫌取りをするしかなかった。恐ろしいから、否定なんてできない。しかし終盤にかけて描かれているのは、彼女の弱さについて。支配者である冴子の内側には、『普通になれない』『自分は異物だ』—そんな深い孤独や自己否定、疎外感があり、彼女の奥底を知ってしまったら前のようには戻れない。

 美しくて、儚くて、どうしようもなく孤独な彼女。気づけば私は、彼女を愛おしく思い、挙句の果てには“守りたい”とまで思ってしまっていた。6日目・夜のイベントは特に印象的で、彼女の壊れかけた心に触れたとき、「このまま一緒に堕ちていきたい」とさえ思った。

 1週間を彼女の世界で過ごしているうちに、自分まで狂ってしまったみたい。これは洗脳なのか、はたまた恋か。彼女しか見えない閉鎖的な毎日の中で、彼女しか見えなくなっていく。

 

支配・依存・共犯 — あなたにとってのTrueエンドは?

 物語の終着点は複数用意されている。おそらく3つかな?Trueエンドらしきものもあります。けど、どれがハッピーエンドかと聞かれたら…。

 この物語には、救いなんて始めからなかったのかもしれない。かと言って人によって幸せだと感じるものは違うので、プレイヤーによってハッピーエンドだと感じるエンディングもあるだろう。

 これだけは言えるのが、どのエンディングでも主人公であるリンの方が狂っているように感じました。メリバ的な。私個人の感想ですけどねっ。冴子は確かに普通じゃない。けど理性が残っていて、引き返す余地もあったはずなのに、リンの選択によってその道すら閉ざされてしまったように感じた。

 冴子を救ったのか、堕としたのか、それとも共に堕ちただけなのか…。どれにしても、彼女は美しかった。私の感情はそれが全てでした。まぁとにかく鬱っぽいのが好きな人にはオススメです。

 

 

静かな狂気を支える音と絵

 BGMは退廃的…っていうのかな、静かに心を蝕むlofi風な音楽。冴子の世界に閉じ込められている感覚が音からも。かなりお気に入りです。

youtu.be

 そして言わずもがなドット絵が綺麗。冴子の美しさ、存在感、冷たさと儚さをここまで表現するのかと驚きました。

 

【まとめ】巨大娘との一週間、愛と狂気のADV

 冴子を救えたかどうか、彼女が救いを求めていたのかさえも曖昧で、どのエンディングにも後味が残る。それでも私は、彼女と過ごした7日間が確かに愛おしかったと思っている。恐ろしくて冷たくて、私に笑いかけてくれる冴子が美しくて仕方なかった。

 圧倒的な力を前にして従属するうちに、なぜか惹かれてしまう。きっと気付いた頃にはもう戻れなくなっているはず。

 

 万人受けする作品ではないと思いますが、『フェチ的要素が強いのかな…』と思ってプレイするか悩んでいる方は安心して購入してほしいです。

Demo版あります!購入検討中の方はぜひっ

saekogame.com

 

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